スピッツ


ありふれた人生
アルバム「スーベニア」収録

 2005年1月リリースの、スピッツのアルバム「スーベニア」の2曲目、「ありふれた人生」は、ナイアガラ・スピリッツを感じさせる名曲です。イントロのストリングスの響きや曲中のアレンジの仕掛けを聴くと、「これは狙ってやっているのかもしれない」と感じさせるのです。パーカッションのシェイカーを複雑にからめてグルーブを出し、左右に配したアコースチックギターのストロークのアタックと重ね、シャカシャカした音の壁も巧くつくっています。
 ストリングス・アレンジも含めた編曲を手がけているのは、亀田誠治氏です。彼の編曲と、草野マサムネの詞と曲、ディレクターを務める竹内修氏の手さばきが見事に融合し、ナイアガラ・ファンの心を打つのではないでしょうか。
 同アルバム収録の「正夢」も、これまた佳曲です。フジテレビ系ドラマ「めだか」の主題歌や、富士写真フィルムのCMソングとしても用いられた「♪いーつかーまさゆめー、君にあえたらー」というサビが印象的なアノ曲です。亀田誠治氏の編曲が活き、ダイナミックな作品となっています。
 ちなみに、ディレクターの竹内修氏は、一部のナイアガラ・ファンには、好事家(こうずか)・瀬竹誠として知られています。つまり、そういう“連鎖”の中から生まれた名曲が「ありふれた人生」なのです。


ribbon
DO YOU REMEMBER ME

アルバム「ribbon BEST」収録

 今をときめくアレンジャー・亀田誠治氏が1992年当時に手がけたカバー作品です。ナイアガラー要チェックの歴史的名曲、岡崎友紀の「 DO YOU REMEMBER ME 」(安井かずみ作詞、加藤和彦作曲)をアイドル・グループの ribbon が歌ったものでした。
 イントロから間奏にいたるまで、ナイアガラ・ファンが楽しめるアレンジに仕上がっています。(2001年のCDアルバム「ribbon BEST」に収録)
 ribbonといえば、メンバーであった永作博美の、ナイアガラとの「縁」を思い起こさずにはいられません。「ウララカ」が主題歌に起用されたドラマ「四谷くんと大塚くん」(2004年7月)や、「恋するカレン」が主題歌となったドラマ「一番大切なデート」(2004年8月)でも、主演女優として活躍していたものです。
 編曲の亀田氏は1963年生まれ。もともと、アマチュアのオーディション・テープのアレンジを引き受けていたところ、それらが次々に入賞。関係者の目にとまりサウンド・プロデューサの道を歩むことになりました。
近年では、スピッツの諸作品の編曲のほか、平井堅が歌い大ヒットした映画「世界の中心で、愛をさけぶ」の主題歌や、「♪おーもいがかさなーるそのまえにー」のCM曲でも名アレンジを聞かせています。椎名林檎のバンド「東京事変」では、ベーシストとしてもデビューを果たしました。


風街クロニクル
ライナーノーツ by 亀田誠治

アルバム「風街クロニクル another side of happyend」より

 2004年11月にリリースされたアルバム「風街クロニクル」は、ナイアガラ・ファン必携のアルバムでした。内容は、はっぴいえんどのメンバーの、日本の歌謡界でのその後のクロニクル(年代記)をまとめる、というものでした。
 このCDのライナーノーツを手がけているのが、なんと、亀田誠治氏です。現役のトップ・アレンジャーが、はっぴいえんどのメンバーの仕事をどう聴いてきたのか、必読です。亀田氏はライナーの中で、ナイアガラ愛をこう吐露しています。
 『松田聖子の風立ちぬは今聴いてもスゴイ』
 『大滝さんの歌を聴け!その歌の素晴らしいこと…』
 『子音と母音のコントロールの仕方がスゴイ』
 はっぴいえんど通、そしてナイアガラ・チルドレンであろう亀田氏の編曲の仕事に、ナイアガラのDNAがにじみ出ずにいようか、いや、にじみ出ないはずがない…。というわけで、現代のヒット曲をも通じて今なお、ナイアガラ・フォロワーズのスピリットが受け継がれている気がする、というのが、わたしの常々の持論なのです。



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