#03 研究篇 その2

 「幸せな結末」の前奏のストリングス8小節に続いて登場するのは、オルガンとピアノの1小節ずつのメドレーです。

ここで話は少し飛びます。大滝さんは、ラブジェネの主題歌をつくるにあたり、「TRUE LOVE NEVER RUNS SMOOTH 」のような曲にしたいと考えたとのこと。ドラマのスタッフにそれを伝えたところ、「そのフレーズ、いただきます」ということになり、「TRUE LOVE NEVER RUNS SMOOTH 」というメッセージは、劇中のポスターにも登場することになり…。これは、大滝さんが新春放談の中で明かした話です。まさに、ドラマ・コンセプトにぴったりの曲ですね。

 この「TRUE LOVE NEVER RUNS SMOOTH 」(邦題:恋は異なもの)は、ジーン・ピットニー(GENE PITNEY )の代表曲として知られ、あのバート・バカラックの手による名曲です。
 この曲の終盤、フェードアウトとなる辺りを注意深く聴いていると、「幸せな結末のイントロのオルガンとピアノの1小節ずつのメドレー」と同一のメロディが、聞こえてきます。

 「TRUE LOVE NEVER RUNS SMOOTH 」の曲中では、「ラーラララ、ララララ、ラララララー」という印象的なコーラスが前奏、間奏、そして終奏でも、くり返し聴かれます。

 このコーラスの後半部分、「ラララララー」が、「幸せな結末」の前奏のオルガンに引用されているようです。
 また、「TRUE LOVE NEVER RUNS SMOOTH 」では、マンドリンのように、つま弾くギターが印象的に使われています。このギターによって曲の最後だけで演奏されるフレーズが、「幸せな結末」の前奏のピアノの旋律に引用されているようです。

 まさに「幸せな結末」の中に「TRUE LOVE NEVER RUNS SMOOTH 」が直接的に登場し、ドラマと有機的に結び付いているのですね。
 ちなみに「TRUE LOVE NEVER RUNS SMOOTH 」は、あのペトゥラ・クラークも歌っています。彼女が「研究篇 その3」への橋渡しをしてくれるのですが…。

 さて、「幸せな結末」の前奏の最後に登場するのは、エレキ・ギターです。
 鈴木茂氏のプレーでしょうか。「Gm7 - Am7 / Gm7 - Am7」というコードに乗って演奏されるこの部分は、デイブ・クラーク・ファイブ(DAVE CLARK FIVE )の「HURTING INSIDE 」という曲の前奏から、引用されているように思われます。

 「お互いに惹かれあっているのに、内なる気持ちを、素直に好きと言い表せないことが恋の障害」というドラマのコンセプトですから、「HURTING INSIDE」は、いわば、「内なる傷心」ということになるのでしょうか…。

「その3」につづく…。



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