#04 研究篇 その3

 「恋の障害は
    『素直に好きと言えないことだけ』
        というシンプルなラブストーリー」


という「ラブジェネレーション」のドラマ・コンセプトにちなみ、「幸せな結末」の前奏のいわゆる下敷きソング達をつないでみると

「真の恋というのは、上がり調子になったり下がり調子になったりして、決してスムーズに進展するものではなく、心の内では、ハートブレイクになることも…」

こんなストーリーが、読みとれてしまいそうな気もします。ドラマコンセプトと、曲の前奏にしのび込ませた伏線もあいまって、「幸せな結末」の最後の一連では、ぐっとクライマックスを迎えます。

 「今なら言える 素直になれる いつまでも 愛してる」と…。

 余談ながら、「いつまでも愛してる」の「あ」の音を歌うところで、大滝さんは特に思いを込めて歌っているように聞こえます。その前の「帰したくないから」、「いつまでも離さない」でも、ほぼ同じメロディが歌われています。が、実は、この「愛してるー」のところだけ、「帰したくないから」、「いつまでも離さない」とは微妙にコード進行を変える、という小技が用いられています。

 「幸せな結末」に込められたドラマは、もちろんこれだけではないようです。
 歌い出しの「髪をほどいた 君の仕草が」の部分は、シンプルに
 「 F / Am / F / Am 」
というコード進行で、奏でられています。
この部分は、ヴォーグス(THE VOGUES )の代表曲、「ユア・ザ・ワン」(YOU'RE THE ONE )を基にしているようです。ペトゥラ・クラーク(PETULA CLARK )とトニー・ハッチ(TONY HATCH)の二人の手による名曲であり、彼女、ペトゥラ・クラーク自身も歌っています。

 ペトゥラ・クラークは、「研究篇 その2」でも述べたように、「TRUE LOVE NEVER RUNS SMOOTH 」も歌っています。そして、トニー・ハッチは「イギリスのバカラック」と評されてきました。
 密接につながる「バカラックのTRUE LOVE NEVER RUNS SMOOTH 」と「トニー・ハッチの YOU'RE THE ONE 」の2曲を並べて持ってきたところが、「深い」ように思います。

 「YOU'RE THE ONE」−君こそがこの世界でただ一人の恋の相手−だと気づいたら、恋の障害を乗り越えて「素直に好き」と告白しなくては…。

 今なら言える 素直になれる…

 そんなドラマは「その4」につづく。



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