#05 Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語

 「Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語」の骨格は、CM音楽を3曲つなぎ合わせたナイアガラCMメドレーなのです。

 「♪アツアツ二人は恋人さ〜」以下のいわゆるAメロの部分は、シャネルズの幻のデビュー作(?)、「ハウス・ペッパー」です。この曲は2006年にゴスペラッツに歌われ、「スパイス・ソング」として、はじめて世に出ました。
 「Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語」と「スパイス・ソング」の以下の部分を併せて聴くと、それが実感できると思います。

 ♪イツ イツ ドコドコ  腕くみ  Walikin'Around
 ♪一味 七味 山椒ラー油 パプリカジンジャー カルダモン

 これに続くBメロは、「出前一丁」なのです。

 ♪Let's Go Steady Again もういちーどだっけ〜
 ♪育って育って育ち盛り 育って育って食ーべ盛り

 ♪四つのお願い 聞いとくれ
 ♪育ちざかりは 食べざかり

 これらはピッタリ重ね合わせて歌えます。

 最後のCメロは、キリン・レモンのCMソングとして作られたもののサイダーの祟りでボツになった、ご存知「大きいのが好き」です。「ナイアガラ・CMスペシャル」において、エポ&シャネルズの歌声が楽しめます。

 シャネルズといえば、当初は、「Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語」に彼らのコーラスをフィーチャーする予定でしたが、「FUN ×4」で既に起用されていたので、ご遠慮願うことになり、代わりにシンセでバックを埋めたのだそうです。
 大滝さんは、キーボードをダビングするにあたり、ジョー・ミークのオルガンサウンドも入れようとしたようです。ジョー・ミークのプロデュース作でハニカムズ(THE HONEYCOMBS)のヒット曲である「Have I The Right 」のオルガンのフレーズを、「Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語」に忍ばせてあります。

 2006年には、トリビュート・アルバム「Niagara SPRING 」で、クチロロが、この「Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語」を名カバーで聞かせてくれました。
 彼らによると、「あらためて聴き直したら、これまで聴こえていなかったフレーズが沢山出てきた。遠くで鳴っているミュート・ギターのフレーズをそのままホーンに置き換えたり…」と、カバーのし甲斐のある楽曲の奥行きに気づいたそうです。
 ロングバケイションの中では、肩の力を抜いたシンプルなつくりの曲であると解されがちな「Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語」ですが、緻密なアレンジとキーボーディストの自由闊達なプレーも、20数年経っても聞き飽きない、その一因なのかもしれません。

 アレンジといえば、イントロの歌い出し前で、シンセベースがリードを取っているところのバックのリズムに耳をやると、1拍めと3拍めに強拍を置いた「バーボボバー」調リズムであり、これは後に「ROCK'N'ROLL 退屈男」のイントロや間奏に引き継がれているようです。
 いつの日か、ラッツ&スターやゴスペラッツの面々の生声コーラスを従えた、大滝さんの正真正銘の「Da-Bi-Doo-Bi-Doo-Ba物語」を聞いてみたいものです。



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