#06 「木の葉のスケッチ」

 「クラリネットが入ると入らないじゃ、
   ガラッと雰囲気が変わりましたね。」(大滝)


 「木の葉のスケッチ」では、 Mr.北村英治の奏でるクラリネットが印象的です。大滝さんによると、この曲はジーン・ケリー主演で有名な映画「雨に唄えば」のイメージなのだそうです。そこで、ジャズ的なクラリネットをサウンドに加えたとのことですが、これが実にぴったりと曲にマッチングし、上品な大人の雰囲気を醸し出しているように思えます。
 「SNOW TIME 」に収録の「木の葉のスケッチ」では、前奏でバンドネオン(アコーディオン)の音色が聞かれます。こちらは言ってみれば、同じくジーン・ケリーの「巴里のアメリカ人」のイメージなのでしょうか…。

 「木の葉のスケッチ」から洒落た雰囲気を感じるのは、サウンドのみならず作曲手法にもよるのかもしれません。
 コードやメロディの展開の仕方は、ナイアガラ・トライアングル2の「オリーブの午后」のそれに似ているようです。これら2曲の旋律を重ねてみると実感できます。「木の葉のスケッチ」って、いわば、「オリーブの午后・秋冬編」とも言えそうです。
 大ブリッジの「とーきが刻むふーかい淵を〜」以下の部分は、かつて太田裕美に提供した名曲「恋のハーフムーン」のサビのコード進行を転用しています。

 小ブリッジの「じゃあ、引き止ーめーてーごめーん」の部分などでは、「ラヴィン・スプーンフル」が想起されます。スペクター・フォロワーズや「レイサイド ストーリー 」のコーナーにも登場した彼らには「SIX O'CLOCK 」という曲があります。
 この曲と「木の葉のスケッチ」に共通する、分数和音やナインス(9th)的なコードの響き、そして前述の小ブリッジ「じゃあ、引き止めて…」でのディミニッシュコードの登場の仕方…。これらから、両曲が他人の空似を超えて類似しているように、感じられるのかもしれません。
 ならば、「木の葉のスケッチ」の冒頭の歌詞「 時計は… 」は、件の曲、「SIX O'CLOCK 」を意識した謎かけ(?)なのかもしれませんね。




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