#02 Water Colorに捧ぐ

 「Water Color」は、アルバム「ナイアガラトライアングルvol.2 20th Anniversary Edition」において、特に「良くなった」と、評判のようです。この20周年記念盤では、ビーチ・タイム・ロングの時にミックスし直されたバージョンが用いられています。初期のバージョンとビーチ・タイム・ロング・バージョンとの違いは明白です。
 「予報通りさー」の後に続く部分の歌詞が違います。初代のバージョンは「からかわれても」であり、ビーチ・タイム・ロングでは「ふられることは」と歌詞を違えて歌っています。「恋にフラレる」と「天気予報どおりに雨に降られる」をかけているのでしょうね?

 サウンドに耳を移しますと、「Water Color 」では、ずっと右のチャンネルで「トライアングル」が鳴っています。「ナイアガラ・トライアングル」だからトライアングルを入れた、という訳でもないと思いますが…。右チャンネルで、「ツツター、ツツター」(歌い出し以降)、あるいは、「ッタカタ タタ、タッ」(間奏のあたり)と鳴っている金物の音が、それです。

 トライアングルといえば。「冬の妖精のきらめき」のコーナーで紹介しました「TEENAGE TRIANGLE」の一員、シェリー・フェブレーの歌う「HE DON'T LOVE ME」をプロデュースしていたのが、デビッド・ゲイツ(DAVID GATES)でした。
 そして、彼、デビッド・ゲイツが1966年にニノ・テンポ&エイプリル・スティーヴンスに提供した「YOU'LL BE NEEDING ME BABY 」は、「Water Color」の「Rain 雨がー」以下の部分で、いわゆる下敷きソングとして用いられているようです。
 デビッド・ゲイツは、その後にブレッドを結成し、名曲「イフ」でもう一度、今度は「スピーチ・バルーン」に影響を与えることになります。
 一方、スペクター・セッションのメンバーであった、ニノ・テンポの名仕事については、あらためて「スペクター・フォロワーズ」のコーナーで触れることにいたします。

 スペクター・フォロワーズといえば、「一千一秒物語のときっめき」のコーナーで紹介した、ロニー&デイトナスの「サンディー」という名曲は、「Water Color」の「ン〜」というイントロを想起させるように思います。
 「サンディー」といえば、布谷文夫の「夏バテ」の原曲を歌い、ナイアガラとも直接つながるスウィンギング・ブルー・ジーンズ(THE SWINGING BLUE JEANS)も、この名曲「sandy」を取り上げています。「Water Color」の「破れた 胸を縫ってー」の後で転調から戻るところでは、ロニー&デイトナスよりもスウィンギング・ブルー・ジーンズの方の「サンディー」のニュアンスを感じます。

 「風立ちぬ」のA面と、「ナイアガラ・トライアングルvol.2」の大滝サイドは、合わせて一枚のシメトリックなアルバムになる…というのは「風立ちぬの小宇宙」のコーナーで述べましたが、各々の源流、すなわち下敷きソングもまた、お互いに近いところでつながり合っていると言えそうですね。



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