MACALMONT & BUTLER


Falling
アルバム「Bring It Back 」収録


  「スペクター・フォロワーズ VOL.5」でも取り上げたバーナード・ バトラー。彼の1998年のヒット曲「NOT ALONE 」を聴いたときに、 「スぺクター・フォロワー魂」を感じたものの、アルバムの他の曲にはその気配がなく、正直、半信半疑でした。しかし、彼が歌手のデヴィッド・マッカルモントと組んで、マッカルモント&バトラー 名義で発表した2002年のシングル「Falling 」を聴いた瞬間、確信したのです。彼は稀代の音壁サウンド継承者だ、と。
 いわゆる音壁サウンドをつくろうとしたとき、その多くはフィル・ スペクターのイミテーションで終わってしまうことが多いのですが、 バーナード・バトラーがプロデュースするそれは、スピリットとエッセンスを引き継ぎながらも、オリジナルのウォール・オブ・サウンドとして完成しているのです。バーナード・バトラー、彼こそは、ロイ・ウッド、ジョー・ミーク、ボブ・クルー、そして大瀧詠一、 これらのお歴々に並ぶスペクター・フォロワーズの白眉なのです。

 

Duffy


Distant Dreamer
アルバム「Rockferry 」収録


 2008年の本国イギリスでの初登場1位をはじめ、世界11ヵ国でも No.1を獲得した新人女性シンガー、ダフィーのデビュー・アルバム 「ロックフェリー」。バーナード・バトラーはこのアルバムで、 プロデューサーとして、そしてバックのプレイヤーとして、4曲では彼女と共作で曲提供もして、大活躍をみせています。バーナード・ バトラーの音づくりは、各メディアでも、音壁サウンドと絡めて評論されたものです。曰く、、、

「マーヴィン・ゲイ、フィル・スペクターを思わせる」
(『Q』誌 )
「ザ・ウォーカー・ブラザーズ、フィル・スペクター調の "ウォール・オブ・サウンド"、60年代中期のモータウン最盛期を思わせる、時代を超越した楽曲」
(イヴニング・エクスプレス紙)

 中でも、「ディスタント・ドリーマー」はスペクター・サウンドの大作バラードです。大がかりなエコー・サウンドに負けない、彼女の存在感のあるボーカルには貫禄すら感じられ、聴きごたえ十分 です。

 

Findlay Brown


Love Will Find You
アルバム「Love Will Find You 」収録


 さる著名な音楽評論家をして「現代英国版『ロンバケ』みたいな アルバム」と言わしめた傑作が、フィンドレイ・ブラウンの2010年 のアルバム「Love Will Find You 」です。
 この1曲目を飾るのは、キャッチーなメロディ・ラインで、猛烈に60'sアイテム全開なのになぜか古臭さを感じない傑作の、タイトル曲です。ナイアガラ・フォロワーズ・ファンがたまらなく親しみ を感じてしまうのは、きっと細川たかし「応援歌、いきます」(岩崎元是作曲)の「♪生ビールがーあるーじゃなぁいかー」と同じネタを使っているから。英国の青年のそんな「スぺクター・フォロワ ーズ精神」をうまく料理しているのが、プロデューサーのバーナー ド・バトラーです。
 「英国版ロンバケ」というだけあって、このアルバムにはナイアガラーが満足感を味わえる佳曲が全10曲、バラエティ豊かにパッケージされています。ある曲はエヴァリー・ブラザーズ的、ある曲はロイ・オービソン的、そしてまたある曲はライチャス・ブラザーズ 的であったりと、ナイアガラ的必須アイテムをも押さえていますが、 決して懐古主義に聴こえないのは、今や2000年代の大ヒット作を手がける名プロデューサーになったバーナード・バトラーの手腕によるところが、大きいのではないでしょうか。

 




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