ウワノソラ'67


シェリーに首ったけ
年上ボーイフレンド

 ウワノソラ'67は、つい最近まで大学生だった角谷博栄クンといえもとめぐみサンのユニット。「Portrait in Rock 'n' Roll」は彼らの2015年6月10日発表のアルバムで、ほぼ全曲で大滝詠一さんにストレートなオマージュが捧げられており、その完成度がまた素晴らしいのです。まずは、そのサウンドを聴いてみてください。ナイアガラ・サウンドの表層だけでなく、ナイアガラのルーツ・ミュージックや後世の派生音楽をも踏まえた、実に懐の深い作りに耳が釘付けになります。
 ブラスやハープも生楽器を使用し、ストリングスは一流芸大の大学院チームの手を借り、決してレキシコンのリバーブのせいだけではない豊かな響きを得ています。

●ウワノソラ'67「シェリーに首ったけ」

●ウワノソラ'67「年上ボーイフレンド」

●ウワノソラ`67オフィシャルサイト





ザ・ペンフレンドクラブ
Tell Me (Do You Really Love Me?)


 ザ・ペンフレンドクラブは、漫画家でもある平川雄一さんがリーダーかつプロデュースを手がける女性ボーカルのバンドで、少しずつメンバーチェンジを重ね進化しています。いまや所属するサザナミレーベルのイチオシ・アーチストです。
 1980年の生まれながら、ビートルズ至上主義者になりかけた平川さんがブライアン・ウィルソンの音楽にふれ、ビーチ・ボーイズやフィル・スペクターのサウンドに感化されていく中で、ナイアガラ・サウンドにも出会います。そう、平川さんの「無人島レコード」のセレクションで唯一の邦楽は「ロングバケイション」なのです。
 ザ・ペンフレンドクラブのアルバムには、ナイアガラ直球のルーツ・ミュージックのカバーが多く収められています。2015年のシングル「Tell Me (Do You Really Love Me?)」は、彼らのオリジナル曲ですが、'60sの要素を注ぎ込みつつ非常に高い完成度を誇ります。
 「幸せな結末」のギターのカッティングからヒントを得たり、リズムやコード進行にもナイアガラ的要素を取り入れているのです。

●ザ・ペンフレンドクラブのムービー

 



Chay
あなたに恋をしてみました

 多保孝一氏は1982年の生まれで、Superflyの一員としてデビュー、その後Superfly専属の作編曲家に転じます。「Oh My Precious Time」と「やさしい気持ちで」は、'60sのフレーバーがたっぷり感じられる名曲でした。その後は他アーティストへの曲提供も開始。月9ドラマの主題歌になった本作で多保氏は、1960年代前半のレトロ・ポップスの音を求めてヘフナーのベースを使い、1966年製のギター・アンプも調達。アナログ感を出すためにマスターには、STUDERのテープレコーダーを大滝さんのように使用するこだわりぶり。大所帯の管弦隊と世界的奏者・朝川朋之氏のハープも加わり、キラキラとした'60sガールズ・ポップ・サウンドが完成、現代にヒットが放たれました。
 シリア・ポールのアルバム「夢で逢えたら」で同じ試みをした大滝さんは自らの挑戦を振り返り、「当時は酷評されまったく売れなかった、まだ時代が追いついてなかった」との自戒の弁を後に語りました。
 しかし、1981年の「ロングバケイション」、1982年の「風立ちぬ」を境に日本の歌謡シーンでは、'60sのアメリカン・ポップスのサウンドをまとったオリジナル曲とアイドル歌手とが多くパッケージされるようになったものです。

●chay「あなたに恋をしてみました(ショートバージョン)」





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