ザ・バックホーン


キズナソング
アルバム「ヘッドフォンチルドレン」収録

 シングル曲「キズナソング」は、日本のリスナーにウケの良い、マイナーコードを多用したロック・バラードであり、サビでは大仰なストリングスによる『お約束』の盛り上げが聴かれます。一歩間違えると歌謡曲になりそうですが、本作の見事な弦の編曲は、ナイアガラフォロワーズのコーナーで取りあげた「サザンオールスターズ = LOVE AFFAIR 〜秘密のデート」でホーン・アレンジを担当している、山本拓夫氏の手によるものです。
 日本人が感情移入しやすいウエットなメロディとサウンドが特徴のこの曲において、プロデュース、録音、ミックスまでをも手がけているのが、ビクタースタジオの林憲一氏です。
 ザ・バックホーンは、ビクター・エンターテイメント内のレーベルであるSPEEDDSTAR RECORDS(スピードスターレコード)の所属アーチストなのです。

【スピードスターレコードのHP】
http://www.jvcmusic.co.jp/speedstar/



オーノキヨフミ
ショッキングエクスプレス

アルバム「君に太陽を!」収録

 非凡なロック・センスの持ち主であるオーノキヨフミのセカンドシングルは、アップテンポながらマイナー調のサビで泣かせます。編曲とプロデュースは、あの佐久間正英氏が手がけています。セルフ・プロデュースも出来るだけの実力のあるオーノキヨフミのこの曲に、佐久間氏はさらに磨きをかけ、万人受けするように楽曲のトリートメントを施しています。とりわけ、きらびやかなストリングスの響きは、若き才能を盛り立てています。佐久間ブランドの典型作品である、エレファントカシマシの「今宵の月のように」のような、分かりやすいロックになっていると感じるのです。
 佐久間正英氏は、'80年代アイドルの百瀬まなみ「カナリア諸島」で、B面の曲をアレンジしていたという微妙なナイアガラつながりもあるのですが…。
 ところで、オーノキヨフミが籍をおく、スピードスターレコードの生みの親は、サザンオールスターズを世に売り出した高垣健氏です。高垣氏が初めて買ったレコードは、ジュリー・ロンドンの「霧のサンフランシスコ」だそうで、彼女の名前と「ナイアガラカレンダー」とのつながりで、ナイアガラ・ファンはピン!と来るか?

【高垣健氏インタビュー記事】
http://www.musicman-net.com/relay/11/index.html



レミオロメン
太陽の下
fアルバム「HORIZON 」収録

 いわゆる佐久間正英ブランドのザ・ブルーハーツやエレファントカシマシなどにルーツを持つレミオロメンは、骨太な3ピースロックバンドでした。が、近作では、小林武史のサウンド・プロデュースを得て、バンドサウンドの厚みが増し、楽曲には分かりやすさと大衆を惹きつけるキャッチーな部分が加わりました。
 彼らのヒットシングル「太陽の下」で聴かれるサビの明快さや、そこへ向けてサウンドを高揚させていく小林武史のストリングスの巧みな旋律には、刮目すべきかと思います。
 レミオロメンもまた、スピードスターレコード・レーベルに名を連ねるアーチストです。
 本頁で紹介している3曲をはじめ、同レーベルで『打って出る』ときのシングル曲では、アーチストの持ち味を活かしつつも、日本の一般リスナーに遍く受け入れられ易くするように、弦や鍵盤を足してサウンドを分かりやすく盛り上げ、加えてサビは明快に感情移入しやすくする、という制作意図が感じられます。
 1980年代以降育ってきたJポップ・ファンのマーケットに、ロックの名曲を放つには、その制作手法は理にかなったものであると思います。
 遡(さかのぼ)れば、「ロングバケイション」のレコーディング直前の当時、「高二時代 '80年3月号」の連載で、「夏頃にはオータキエーイチのアルバムも発表します。(中略)テレビジョンのベストテン番組に出られるような曲を作ろうと、(中略)ハゲンでおります」と記した大瀧詠一さんが目指していたであろう『ポップスを分かりやすく斟酌(しんしゃく)して、日本人に受け入れられる大衆性を獲得していくこと』に通じていくのだと思っています。



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