#06 恋のひとこと(SOMETHING STUPID)

 ちょっと照れ屋の大滝さんは、電波にのせて語らないかもしれませんから、恐れ多くもここに書き記したく…。「恋のひとこと」は、いつか自分の娘さんとデュエットするために、大滝さんが「大事にとっておいた」曲なんだそうです。
 愛娘を歌手にしたい、大滝さんには、そんな思いがあったのだそうで、年頃になった娘さんに自ら編集した「ガール・ポップ集」のカセットをプレゼントしていました。「パイナップル・プリンセス」や「ジョニー・ゲット・アングリー」などのキュートな曲たちが入っていたのだそうです。もしかして、ナンシー・シナトラの「イチゴの片想い」も顔を揃えていたのかもしれませんし、ひょっとしたら、コソッと最後の方に、この「恋のひとこと」も忍ばせてあったり…したのかもしれません。

 私が生まれた年に、フランク&ナンシー・シナトラ父娘によって歌われた「SOMETHIN' STUPID」は、米国チャートで4週連続1位を獲得しました。このとき父、フランク・シナトラは52歳に、娘のナンシーは27歳になろうとしていました。ちょうど、大滝さん父娘もそんな年齢になった頃、まりやさんからのオファーが…。
 あとは、皆さんのご存じのとおり…、2003年の新春放談を聴き、幸せな、どこかアトホームな気持ちになったナイアガラ・ファンも多かったのではないでしょうか。


サウンドに関して言えば、アレンジは、シナトラ父娘のオリジナルに比較的忠実なものになっています。「山下達郎」の存在を消してスタンダードな味わいを感じさせるようでいて、イントロのギターの引っ張りから、ジャストのタイミングで鳴るベース音まで、やはり達郎サウンドになっているところが、また興味深いものです。
 アビーロード・スタジオで、現地の実に仕事の早い一流奏者により演奏された華麗なストリングスも、華を添えているようです。服部克久氏の手堅いスコアが流麗に歌っているのは、ゲビン・ライトの指揮のせいだけではなく、この曲のベーストラックから「何か」を、弦奏者たちが感じ取ったからでしょう。


※一部の画像はフィクションです。




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